【タイトル】はじめてのニュース・リテラシー
【著者】白戸圭一
【出版社】ちくま書房
ニュース・リテラシーとは?
リテラシー「literacy」とは?
リテラシーという言葉、最近よく耳にします。
本書のタイトルでもあるニュース・リテラシーやメディア・リテラシー等、こちらの解釈は以下の通りです。
ニュース記事の内容を見て、発信元、発信者、信憑性があるか等を見極めて正しい情報か判断できる能力の事。
ツイッターで流れてくる情報をそのまま信用して拡散すると、実はフェイクニュースだったりします。タイムラインを見ていると、えっ💦と驚くニュースがあったりして信用してしまう事は多々あります。💦
今の時代ほど、人間が情報に振り回され、情報が人の心をむしばんでいる時代はないように思う。
この本は、我々が「情報」とどのように付き合っていけばよいかについて、考察した入門書である。
本書7&9ページより引用
この本を読むメリット
- フェイクニュースの見分け方がわかる
- 偏向報道にまどわされない力がつく
- 新聞社(or メディアの裏側)の実態がわかる
- ジャーナリストの本質を理解できる
- テレビの報道の在り方について理解できる
正しい情報の見極め方とは?⇒ニュースリテラシーを高める事
著者について紹介
まずは、情報の発信元を確認すべく、著者について紹介したいとおもいます。
著者:白戸圭一さん (しらとけいいち)→立命館大学のプロフィール
立命館大学国際関係学部卒業。1995年に立命館大学大学院国際関係研究科修士課程を修了し、毎日新聞社に入社。鹿児島支局、福岡総局(現西部本社報道部福岡本部)、外信部、ヨハネスブルク特派員、政治部、ワシントンD.C.特派員を経て2014年3月に退社。三井物産戦略研究所へ移籍し、主席研究員、欧露中東アフリカ室長などを経て、2018年4月より現職。単著「ルポ資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄」(東洋経済新報社)で第53回日本ジャーナリスト会議賞受賞、第9回新潮ドキュメント賞最終候補。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員兼務。
wikipedia より引用
実際にメディア業界にいた著者の裏情報も記載されていて、興味深い内容でした。
はじめてのニュース・リテラシー ~目次~
第一章 誰もが発信する時代
- 130年前の流言
- 新型コロナ感染拡大とインフォデミック
- SNSが変えた情報の流れ
- ある朝、目覚めたら「犯人」に
- 市民が「冤罪」をつくる時代
- 加害者は「普通の人」たち
- 情報の「出所」を見ない人々
- 情報リテラシー批判能力
- 手つかずの「情報リテラシー」教育
第二章 ジャーナリズムとは何か
- 人は生きるために「ニュース」を欲する
- 「メディア」とは何か
- 革命的技術「活版印刷」の登場
- ジャーナリズムの誕生
- ジャーナリズムの使命
第三章 事実・捏造・偏向
- 「事実」とは何か
- 「事実」の乱立
- 実名発言の重要性
- NHK発言への違和感
- 「事実」と「現実」
- 1992年の「やらせ」事件
- 「事実」を並べて「ウソ」を語る
- 選ばれる事実、削ぎおとされる「事実」
第四章 ニュースの作られ方
- 報道されること、報道されないこと
- 新聞製作の流れ
- ニュース感覚
- ニュースバリューを決めるもの
- ジャーナリストの使命感
- 報道機関の事情
- 情報の発出頻度と情報量
- メディアの特質を知る
- メディアとの賢い付き合い方
- 「絵になる」と「絵にならない」
- 「論理」より「気分」
- テレポリティクス
- 賭け麻雀スキャンダル報道
- 雑誌の「ニュース」、新聞の「取材」
- 当局者への潜行取材
- 捜査情報の選考報道
- 「特ダネ」と人事
- 三つの調査報道
- 「権力の道具」だった私
第五章 「陰謀論」と「不誠実な報道」
- トランプ時代の「情報と人間」
- 「どの筋から圧力が?」
- トランプ政権と陰謀論
- 情報ランチ定食
- 世界全体を説明する方法
- 低下したマスメディアへの信頼
- メディアの「不誠実」な内幕
- 内幕を暴露
- 「定型」の爆走
- パチンコ店を巡る報道
おわりに 「正確な事実」をつかむために
- 情報の「次数」を考える
- 一次情報に近づく努力
- 「明らかにされていないこと」重要性
- 情報発信者・媒介者を吟味する
- 「未確認情報」という判断の重要性
現在話題になっている内容も織り込まれていて、目次を見ただけでもとても興味深い内容が盛りだくさんです。
一部ご紹介します。
第一章 誰もが情報発信する時代
情報を発信する媒体としてひと昔前まではテレビ、新聞等の大手メディアのみでした。
しかし、ネットの普及によって最近ではソーシャルメディアから情報が流れ、私含め一般人の誰もが情報を発信できる時代に変わりました。その代償として、インフォデミックが大きな問題になっています。
インフォデミック (Infodemic) とは、「根拠のない情報の広範囲にわたる拡散、それに伴う社会の混乱」を指す言葉である。特に感染症に関する情報について使われることが多い。
特にインフォデミックは今回のコロナウィルスの影響で話題にとりあげられました。
本書にいくつか事例が記載されているので一部ご紹介します。
新型コロナ感染拡大とインフォデミック
トイレットペーパー騒動の実態
インフォデミックで思い出すのがトイレットペーパー騒動です。全国のドラッグストアーからトイレットペーパーの棚が空だったのが記憶にあります。
私の家の近所のドラックストアーもこんな感じでした。棚が空です。びっくりです💦
しかし、トイレットペーパーとコロナウイルスの関連性がわかりません。
なぜ、コロナでトイレットペーパーが不足するのか?これぞインフォデミックの影響としか言えません。
本書によると、ツイッターで以下情報が拡散されたのをきっかけに不足の事態に陥りました。
- マスクとトイレットペーパーの原材料が同じなのでマスク増産に伴いトイレットペーパーが不足する。
- 中国でトイレットペーパーの生産が停止し、日本で不足が始まる。
- トイレットペーパーの原材料が中国から輸入できなくなり、日本で生産できなくなる。
どれも信憑性があるようにも見えますが…💦
本書によると、多くの人は「トイレットペーパーが無くなる!」という情報を信じてはおらず、ツイッター上で拡散される情報をデマとして受け止めていました。
でも他の人は情報を信じて買いだめに走っているので、品薄になってしまう!と焦って結果的に買いだめ行動に出てしまいます。
悪循環ですね…💦
市民が何気なく発信したツイッター上のつぶやきがパニックを誘発した事例の典型で、極端な場合には一般市民が情報を武器に他人を傷つける「加害者」と化すこともある。
本誌23ページ引用
確かに、SNS(ソーシャルメディア)の発信には過激な内容もあったり、他人を傷つけてしまう事があるので気をつけたいですね…💦
情報の受け止め方→発信元の確認が重要
本書に興味深い研究結果事例(米スタンフォード大学による)が載っていたので紹介します。
そもそも人間は誤情報やフェイクニュースを見抜けるのか?
対象者:米国の中学生から大学生(7804人)
<検証内容>
形が著しく変形した花の写真に「福島第一原子力発電所の事故の影響で変異した」と説明を一言加えて被験者に見せどう判断するか検証する。
写真には撮影場所、撮影日時、撮影者、提供メディア名などは一切無し。
<検証結果>
4割の高校生は情報源を確認せず、「生物は放射能の影響で奇形になる」という先入観を頼りに偽の情報を本物と信じてしまった。
彼らが写真に「#ふくしまの花」とハッシュタグをつけてSNSで発信すれば、誤情報は一気に拡散されてしまう。
<結論>
出典元を確認し、その信頼性を評価するという基本動作は若者の間でそれほど共有されていないという研究グループの結果だった。
まずは先入観にとらわれず、情報の出どころ、発信者等を確認するのが誤情報やデマにだまされない第一歩ですね!
第二章 ジャーナリズムとは何か
人は生きる為に「ニュース」を欲する
私たちは今まで知らなかった新しい情報を得る事で自らを守り、損得を計算し、危機を回避し、何らかの判断を下し、次の行動を決めています。
そんなニュースを運んでくる媒体を「メディア」と呼んでいます。
又、情報を集めて人々に届ける専門家は「ジャーナリスト」と呼ばれ、
情報を集めて人々に提供するシステムを「ジャーナリズム」と言います。
ジャーナリズムとは、市民社会の自由を守り、市民の自治に必要な情報を提供する活動のことであり、市民が社会を自力でデザインする為に必要な情報を、事実に基づいて提供する活動の事。
この定義に基づかないメディアも世の中には多数存在しています。
本書が挙げている代表的な媒体は、やはり中国共産党寄りの国営新聞『人民日報』や国営テレビの『CCTV こと中国中央電視台』等です。
ジャーナリズムは「言論の自由」と「報道の自由」が保証されなければならないし、国の検閲がかかっているメディアはそもそも論外ですよね💦。
第三章 事実・捏造・偏向
「事実」とは何か
ジャーナリストはストーリーを構成し、意見を述べたりもしますが、事実に基づいていなければなりません。
伝えられる情報が事実であっても、「事実とは何か」という問題は少し難しかったりします。
この問題を理解する為に本書に分かり易い事例が記載されています。
<次の3つの文章を読んでください。>
- 分析命題:誰が見ても白い鳥は白いので事実証明可能な情報
- 経験命題:白い鳥には飛べる鳥もいるし、ニワトリの様に飛べない鳥もいる。その為、文献等を調査して情報を集め、真偽を確認する必要がある。
- 価値命題:白い鳥は美しいは、個人の主観に基づく主張、意見、感想である。美しいと思う人もいれば、美しくないと思う人もいる。
ニュースを見る時のポイント
上記、白い鳥の事例を実際のニュースに当てはめてみると、ニュースを見る時のポイントがわかってきます。
あるメディアで「菅総理のコロナ対策は間違っている」という発信を見た場合、
この場合は白い鳥事例でいう価値命題にあたります。
“間違っている”という個人の主観に基づいた感想になります。
次に、まず確認すべき事は、誰の発言であるかを考えます。
自民党に日頃から否定的な共産党の意見の場合、否定的な意見は「当たり前」であるが、
自民党総裁である首相を指示している自民党議員の意見の場合、見方や意味合いがかなり変わってきます。
また、匿名で発言しているか又は実名で発言しているかでも大きく変わってきます。
ニュースの見極め方って難しいですね💦。
ニュースの作られ方
マスメディアから選ばれる「ニュース」とは?
何気なく見ているメディアのニュース、どのように選別されてるのでしょうか?
- アメリカ銃乱射事件
- アフリカコンゴ共和国武装集団襲撃事件
2つのニュースがあった場合、当然メディアで取り上げられるニュースは①番です。
日本とかかわりの深い米国のニュースが大きく取り上げられますが、遠い国であまりなじみの無いアフリカのニュースは新聞の隅か、もしくは記事として取り上げられない可能性が高いです。
上記は「読者(視聴者)の関心」及び「報道機関の関心」によってニュースが選定されていますが、本書によると、これ以外にもどうやら「第三の力」がニュース報道に大きく働いており、
報道の質を大きく歪めめていると書かれています。
「第三の力」? なんじゃいそれは(笑)! 怪しいですね~
この記事を投稿したのが2021年でした。
そして・・・2023年現在・・・
第三の力の答え合わせができました。💡
※ 2023年10月現在にて追記
違った切り口からニュースを読み解く
黒川検事長、記者と賭けマージャンか 週刊文春報道
こちらのニュースは色んなメディアで報道されていましたが、印象としては、大手新聞社と黒川検事長との癒着等、悪いイメージの報道が一斉にされました。
視聴者側の私もこの一連のニュースはコロナ渦に賭け麻雀は良くないと思っていました。
しかしながら、本書はとても興味深い違った切り口から本件について語っています。
本記事は雑誌メディア「週刊文春」のスクープでした。
多くの国民がコロナ渦で自粛を強いられる中、3密状態で違法性の高い賭け麻雀をしている事実を知り、スクープと判断して記事にした。
黒川氏と麻雀を囲む行為は、記者からすれば「取材」であり、この状況がスクープされるとはおもってもいなかった。賭け麻雀は、業務の一環(潜入取材)であると捉えている。
ポジショントークかもしれませんが、記者側の立場で本事件を考える事はまったくできませんでした。💦
最後に、正確な情報を掴むために
最後に「正確な事実を掴むにはどうしたらよいか」というポイントが記されています。
情報の「次数」を考える
海外のニュース(CNN やBBC等)が日本語に翻訳されたニュースは二次情報になるのですね。
次数が上がっていくに従って、情報の信ぴょう性が薄れていっちゃいます💦
真実の情報に近づく為には、可能な限り一次情報に近づく事がベストです!
本書は、高校生から大学生をターゲットに書かれた書籍ですが、大人の私でも十分に学べる濃い内容になっています。
膨大な情報が飛び交う中、そして誰でも情報を発信する事が出来る中で、私たち個人もメディアから流れてくる情報をどのように見極めるか、本書を通して学ぶ事が出来ました。
ニュースリテラシーを高めて、より良い価値のある情報を入手しましょう!
Thank you for visiting my page!🍀
こんにちは。Sarryです。
みなさん、ニュースは良くチェックしますか?
テレビ、新聞、ネット等、最近はソーシャルメディアから情報どりする人も少なくありません。
私もYOU TUBEを見たり、ツイッターのニュースをみたりします。
さて、ありとあらゆる情報が膨大に流れている中、
果たしてその情報は正しいのか?フェイクニュースか?
見極める事はできますか?
ひと昔前と違って誰もが情報発信する時代。
正しい情報を見極められるようになるために、
こちらの本をご紹介します。