【タイトル】ルポ 中国「潜入バイト」日記
【著者】西谷 格 (ジャーナリストさん)
【出版社】小学館新書
この本を読んでわかること
リアルな中国の国民性や価値観を知ることが出来ます。
- なぜ中国ではパクリ商品が広まるのか?→パクる人は頭が良いとされる。
- 中国人の交友関係→親しい人にはとことん親切その反対は・・
- とにかくやってみて、後から考える→わりと楽観的
メディアが報じない‼実際の中国事情が垣間見れる内容
日本のご近所の大きな国中国、人口も14億人?と言われていてメディアでは色んな情報が飛び交っています。あまりにも広い中国に関してテレビで報じられているのはほんの一部に過ぎない気もします。この本📕は実際に中国の市民生活に飛び込んで、現地の人と交流をもち、実体験を元に中国のリアルを現地でアルバイトをすることによって得た体験談を語っています。この本から中国の国民性を垣間見る事ができ、とても興味深い内容でした。
本を読む前に勝手に中国をイメージしてみました
中国といえば…
そして最近では悪いイメージも・・
等々、リストアップするときりがないのでこのくらいにします。
筆者が潜入した中国でのバイト
現地中国で筆者が飛び込みのバイトを実施したのが以下です。
見た感じ、都会のIT系とかそういった富裕層ではなく、庶民的で、中国の一般人の日常を知る事ができそうです。中国でバイトしたら時給いくらもらえるんだろう? そんなバイト潜入中に出会った中国の人達の国民性や人柄、中国ってどんな国なのか自分がイメージしていたものと違ったり、疑問に思っていたりすることがこの本によってちょっとだけ解明できました。一部ご紹介します。
ルポ 中国「潜入バイト」目次
目次からして興味深いですね…
- 第1章 上海の寿司屋でバイトしてみた
- 第2章 反日ドラマに日本兵役として出演してみた
- 第3章 パクリ遊園地で七人の小人と踊ってみた
- 第4章 婚活パーティーで中国人女性とお見合いしてみた
- 第5章 高級ホストブで富豪を接客してみた
- 第6章 爆買いツアーのガイドをやってみた
- 第7章 留学生寮の管理人として働いてみた
第1章 上海の寿司屋でバイトしてみた
中国のお寿司屋にバイト潜入!
中国の食品問題と言えば記憶にあるのが、「段ボール肉まん」や「冷凍ギョーザによる食中毒事件」「マクドナルドの腐った鶏肉のチキンナゲット」そして、「粉ミルク事件」等が思い出されます。個人的には粉ミルクにメラニンが混入されている事件が衝撃的でした‼。これらのニュースを見る限り、中国での食品って安全性は大丈夫かな?とかなり疑問です。
そんな中、筆者は中国の衛生管理がどのようにされているのかさぐるべく、上海に数多く点在するお寿司屋さんでアルバイトをすることに決めました。
軽く面接を受けて、寿司を握った経験がある事を伝え(しかし、自宅で手巻き寿司を握った程度💦)日本人なので寿司屋のイメージアップと言うことで即採用になりました。筆者が働く寿司屋は上海市内に10店舗あるチェーン店です!
この給料は上海ホワイトカラーの半分以下。そしてこの金額は地方出身の中国人だと里帰りや服や携帯を買ったらほぼ貯金ができないそう。ギリギリっぽいですね
しかし、会社のドミトリー寮に住み込みでき、食事もまかない食が出るのでなんとか生活は成り立つらしい。
従業員の住まいや食事の面倒をみるのは、中国のブルーカラーでは一般的で、「包吃包住(bāo chī bāo zhù)」バオチーバオジュウと呼ばれている。特に食事の内容は重要で、離職率にも大きく影響するそうだ。 本書23ページより引用
最近では、格差をなくす為戸籍制度の改革を実施しているようですが、『〇年以上北京に住んでいる事』、『〇〇歳以下のこと』、『社会保険を〇年以上納めている事』等、条件が厳しく難しそうです💦
職場は緊張感なくゆる~くスタート
ショッピングセンター内の寿司屋に勤務予定の筆者。始業10分前にお店に行くと、鍵がかかっていて誰もいない。結局10時5分に鍵をもったスタッフが現れ始業開始。
日本と比較すると、基本他の国は時間にルーズなのは知っていますが、やはり中国もその点はゆるいそうです。
渡された寿司職人の制服はよれよれで特に洗濯をしている感がなかったそうで💦
一緒に働くスタッフは割とフランクで上下関係がさほどなさそうです。
さて、衛生状況はどうでしょうか?
日本の飲食店では、食中毒防止のため、キッチンに入る前に手洗いやアルコール消毒を行うのが鉄則だが、この店では手洗いの習慣は特にナシ。始業前だけでなく、トイレから戻ってきた時も手は洗わず、そのまま素手で寿司を握っていた。唯一手洗いの場面を見たのは、丸ごと一匹のサーモンを解体して、両手がヌルヌルになっていた時。客に清潔な料理を出すためではなく、単に自分の手がヌルついて嫌だから洗っていたのだ。 本書26ページ引用
ん~💦絶対それは食べたくないです。。。
キッチンでサラダづくり
キッチンは見た感じキレイそうで、サイドメニューのサラダ作りを実施。レタス、トマト、キャベツ、コーンと盛り付け、ゴマドレをかけて完成のグリーンサラダのセット。
見た目立体的にフレッシュに盛り付けたところ、ダメ出しが入って盛り直しです。どんな手直しかと思いきや・・💦
レタスは細かく砕いた方がよく、レタスの葉を掴んでギューッと握りつぶし、しなしなにして皿に盛り直されました。
目がテンです。。👀
どうやら、中国の方は生野菜を食べる習慣が元々なく、生っぽさを無くした方が人気だそうで!💦食文化の違いでしょうか…
衛生に関する価値観の違い
一緒にサラダづくりをしている中、あるスタッフの行動が衝撃的でした。
サラダにスプーンを使って盛り付けていたら、手が滑ってスプーンを床に落っことした。床から拾い上げるとスプーンの裏と表を一瞬じっと見つめ、汚れがないことを確認すると、そのまま盛り付け再開です。💦
『視覚的に汚れが見えない状態』であれば問題無しと判断するらしい。
筆者の感想が以下の通り書かれていました。
中国人の衛生レベルの低さやマナーの悪さについては、「昔の日本もそうだった」「昭和のマナーも悪かった」と考える人もいるが、私はそれはある程度正しいとは思うものの、全面的には同意できないでいる。というのは、タイやカンボジア、インドなど中国より経済面での発展が遅れているとされる国に行ってみると、衛生レベルやマナーに関しては、中国よりマシだと感じるからだ。日本人と中国人の間に横たわる衛生観念のギャップは、単なる経済発展の差というだけでなく、もっと根深い文化的な要因があるように思えてならない。 本誌41ページ引用
5日間のバイトの給料は 約7500円のはずが・・
潜入調査も十分に出来たところで、寿司屋のバイトは5日間で終了した筆者。
さて、給料は計算すると500元(約7500円)ですが、店長に聞くと、「人事から受け取ってくれ」とのこと。人事に聞くと「店長から受け取ってくれ」とたらい回し。
結局給料は未だ受け取ってないらしい。
第3章 パクリ遊園地で七人の小人と踊ってみた
パクリ文化が根付いています
中国といえば、パクリ文化✨と言われています。最近では無印とユニクロ及びダイソーを掛け合わせたようなこんなお店も登場しています。ベトナムに旅行した時にみました。この変な日本語のお店!そしてニューヨーク証券取引所に上場していると記事にあります。
他にもブランド品やキャラクター、家電製品等いろんな商品が思い浮かびますが、
中でも2007年にテレビのワイドショーで話題になった「石景山遊楽園」が衝撃的💦でした。日本語の公式ホームページもあります。→ 「石景山遊楽園」
ちょっとWikipedeaを覗いてみます。
1986年に開業。遊楽園のキャラクターの中にはこの園独自のものもあるが、ミッキーマウス、ドナルドダック、クマのプーさん、白雪姫と七人の小人などのディズニーキャラクター、バッグス・バニーなどのワーナー・ブラザースのキャラクター、ハローキティ、ドラえもんなど、世界的に有名なキャラクターによく似たキャラクターが見られる。また「ディズニーの雰囲気を備えたジョーンズの冒険」、「ヨーロッパ調の幽霊の邸宅」など、ディズニーランドと酷似したアトラクションも存在する。
もっとも、園側の主張は「当園独自のキャラクターで、結果として一部似ているが、決してマネしたわけではない」とのこと。 wikipediaより引用
いや、マネしてるでしょう💦(^^;)
山東省にある「欧楽堡夢幻世界」英語名;ユーロパークで潜入バイト
山東省は北京と上海の中間くらいに位置する沿岸部の中規模都市。割と田舎のエリアなので、ググってみましたが、こちらのサイトは見つける事ができませんでした。
面接5分で即採用決定
遊園地では「着ぐるみを着たい」との事で面接をした結果、即採用が決定。
まず働く前にお客としてパクリ状況をチェック👆。チケットを200元(約3000円)で買って入園。ゲートをくぐると✨パクリの世界が✨
- USAでお馴染みの地球儀のオブジェ
- シンデレラ城風のお城
- スペース・マウンテン風アトラクション
- ビックサンダー・マウンテン風
- ディズニー7人の小人風パレード
着ぐるみバイトスタート
翌日8時に出勤して、パレードの「演劇部」へ配属された。念願の着ぐるみを着てパレードに参加できそうです✨
演劇部の控室は派手なコスプレ衣装があり、ディズニー7人の小人風の着ぐるみも無造作に床に転がっている。着ぐるみは黒ずんでいて、本物と比べると目つきが不自然で可愛くないらしい💦
ミッキーはダメ!小人はOK!
倉庫の一角にパクリミッキーを発見!ミッキーの他にもミニ―とドナルドも!パクリキャラは目つきが不自然らしい💦可愛くなさそうだ。
筆者はミッキーの着ぐるみを着たいと伝えたところ、今は使っていないとのことでダメらしい。開園直後は使っていたが、上層部にバレて使用停止になり、やはり著作権がらみでNGになったそうで。
なぜか、ミッキーマウスは著作権でNGですが、7人の小人は問題無いとの事。
ん?なぜでしょう?
「7人の小人には著作権はないから」
小人については西遊記や桃太郎などのキャラクターと同様で、誰の物でもないと捉えているようだ。だが、単なる「小人」であれば著作権はないだろうが、あの独特な目つきや表情は、誰がどう見ても「ウォルト・ディズニー・カンパニー」のキャラクターである。 本誌95ページ引用
なるほど💦世界観が違います!
他にもこんな事例がありました。
筆者が取材でiPhoneのパクリスマホを店員に指摘すると
「これはりんごを二口かじっているし、こっちはりんごではなく梨。だからパクリではない」
ある意味発想がすばらしい!
なぜ中国でパクリが横行しているのか?
中国は1992年にべヌル条約(著作権保護に関する交際条約)に加盟しても相変わらず社会全体でパクリが横行しています。
本書には亜細亜大学の遊川教授の言葉で説明しています。
大きな要因は中国の社会システムにある。
新技術を開発し、商品化に成功したとしても、すぐに模倣商品が出回り、後発の模倣メーカーに利益をさらわれてしまう。これといった技術やノウハウを持たずマーケティングの概念も薄い多くの企業にとっては、新たに開発された技術をいちはやく模倣して売り逃げするのが最も効率のよいビジネス・モデルになっているのが現状である 本書89ページ引用
パレードでダンサーと親しくなる(中国式人付き合いの価値観)
園内で行われるパレードに参加する為、先輩ダンサーとまず特訓!小人の着ぐるみを着たかった筆者ですが、身長の関係でピエロの着ぐるみに決定!
ダンスの練習を一緒にしているうちに相手も親近感をもち仲良しに。筆者の為に安い宿を一緒にさがしてくれるとか、不動産を紹介してくれるなど、いったん仲間となれば情に厚いのが中国人らしい。
しかし、裏を返すと「赤の他人には極めて冷淡」となるらしい。
中国の人達の「身内」意識、非常に激しいものとあります。この場合の「身内」とは親兄弟はもちろんですが、友達の中で「身内」と認めた人も入ります。中国の人達の『身内』に対する態度と、『身外』に対する態度は、全く異なります。『身内』の人が困っていれば、全財産を曲げ売ってでも助けますが、『身外』の人は、極端な話、破産しようが、死んでしまおうがどうでも良い、という感じです。本書193ページ引用
3日間のバイト料は・・200元(約300円)
今回はパレードの着ぐるみをメインにバイトをした筆者の給料は・・
200元の日本円で約3000円でした。
第7章 留学生の寮の管理人として働いてみた
日本に帰国した筆者。最近街でよく見かける中国人は日本でどんな生活をしているのなか?と興味を持ち、『留学生寮管理人』の仕事を中国人専用の求人サイトより発見!早速バイトすることに決めました。
日本で暮らす中国人の学生寮で働く
都内の雑居ビルにあるオフィスに面接に行き、この会社は都内に40室ほどの物件を借り上げ、1室を4人~5人に貸し出し学生寮として運営している中国人が社長の会社だった。
仕事の内容
初仕事は2段ベットや家具の組み立て。先輩バイトと一緒に新しく借り入れた物件に新入生入居に向けての準備です。こちらは1棟借り上げで中国人しかいないマンション。
配送業者から届いた棚などの大量の組み立てを今日中に終わらせるのは到底無理がありますが、
先輩バイトの官さんは『21時までには終わらせよう』との事で、がんばりましたが、結局21時過ぎてもほぼ終わらず中途半端でこの日の作業は終了💦
梱包された段ボールが散乱し、開封はするが、たたんで片付ける作業は一切しないから、部屋が散乱状態です💦。
実際に中国学生の寮生活を覗いてみる
バイト2日目のお仕事は、寮の大掃除です。別の物件でマンションの数部屋をかりあげているので、他の部屋には普通に日本人が住んでいます。
一つの部屋で中国人学生が集団生活をしているとは誰も思っても見ない状況です。
2DKの居室に2段ベットを詰め込み、4人で共同生活をしている部屋の掃除をします。
4人1組になって、さてバイトスタートです!
扉を開けると驚きの別世界!
ドアを開けた瞬間、食べ物、生ごみ、体臭等の生活臭に襲われます💦
玄関には靴や骨折れた傘が乱雑に💦
室内には2人の男性がいて一人は台所で料理中。
台所は大きなゴミの山があり、数か月放置状態・・💦 飲みかけのペットボトルが至る所に散乱していて、何やら路上よりもヤバい💦。
室内はサンダル履きで、床は真っ黒!で筆者曰く野外のアスファルトを歩くよりも不潔感満載💦
お風呂場は排水溝に大量の髪の毛と水垢だかけ💦
しかし・・・
各個人の居住スペースを覗くと、自分達の寝起きするベットの周辺だけは意外なほど清潔✨。
中国人が部屋を借りにくい理由
この状況をみたら、やっぱり部屋を借りにくいのは納得ですが、実は他にも理由がありました。
シンクの戸棚を開くと、大量の封筒が積んであった。赤や黄色の警告的な色をしている。携帯電話会社やクレジットカード会社からの督促状だ。しかも弁護士名義で届いている。
督促レベルが最終段階に達しているのに、そのまま祖国にとんずらしてしまったのだろう。
ゴミ屋敷に近い状態を見て、立鳥後を濁さず、という考えは皆無のようで、むしろ後は野となれ山となれとばかりに、大量のごみをまき散らした状態で退去する中国人留学生たち。思わずため息がでた。
本書230ページ引用抜粋
不動産営業のお仕事を手伝う
掃除以外のお仕事も頼まれた筆者。社長から不動産営業を手伝ってほしいといわれ、営業スタート。
仕事内容は一人暮らしを予定している学生にコンタクトをとり、部屋を紹介するという仲介業務です。物件は不動産会社専用の物件案内サイトで探していきます。
良さそうな物件を見つけたら、物件を持っている不動産会社に電話で問い合わせ、外国人と伝えるとなかなか応じてもらえないらしい💦。どうやら、トラブルを避ける為にオーナーさんも貸したくはないのでしょう。
しかし、10件に1~2件くらいの割合で外国人OKの物件が見つかり、希望者にコンタクトをとります。
OKをもらった不動産会社に中国人学生をつれて内見及び契約審査へと進みます。カウンターで担当がいくつか質問をしてきます。
志望校について聞かれると、『東京大学です』と答え、審査通過。
東大というキーワードを聞いた側はそれなりにちゃんとしていると思い、安心感を与えられます。
さすが!はったりもある意味重要ですね。
今回のバイトは割と長期間続いた筆者。バイト代はいくらもらったか記載されていませんでしたが、お疲れ様でした。
本書のまとめ
中国でアルバイトという発想がとてもおしろいし、生のリアルな体験を知ることができる本書はとても勉強になりました。今時点、アメリカやオーストラリアと対立状態の中国ですが、中国人の本日や国民性を知るにはベストな本だと思います。
今回紹介したのは上記3つのバイトですが、他にも興味深いバイト実況が満載です。ぜひ他のバイトも本書を読んでチェックしてみてくださいね!
中国人のマインド👇
とりあえずやってみて、問題があれば改善する。それでいいじゃない。
やっぱりこの考え方がポイント高いです!
副業を始めるにもこのマインドでやったらいいと思えてきました。万全な準備をしてからではなくて、とりあえずやってみる。ナイス!中国!
計画性が無いと言えばそうですが、この余裕と楽観的なところが今の中国の発展に大きく関わっているのかもですね。何を言われても動じない。
その強いメンタルは日本人も見習うべきなのかもしれません。
私の通う会社がある日突然中国に買収?合弁会社となって以来、どうにも中国についてフォーカスしてしまう中、ふと本屋さんで見つけたとっても興味深い本でした。
ぜひ他のバイトも興味深い内容ですのでチェックしてみてくださいね!📕
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